年齢別のむし歯のリスクファクター

乳幼児のお口の中では、生後6か月から乳歯の萌出が始まり、3歳頃までに萌出は完了します。また、乳幼児の食習慣も、乳児期、離乳期、幼児期を通じ て、噛み合わせの完成による咀嚼器官、味覚器官の発達に従い変化していきます。そして、乳歯の萌出、食習慣の変化と伴いむし歯のなりやすさも変化するとと もに、むし歯の好発部位も変化していきます

このように変化し続くけるお子さまのお口の中の環境、生活習慣などを見つめ直し、出来るだけ病気が起こらないような生活リズム作りを行うことは、今後のお子さまの将来にも重要なことと思います。 そこで、各年齢別に、むし歯予防のための生活習慣のポイントを整理するために、調査を行った結果を示していきたいと思います

調査対象および方法

産婦健診、1歳6か月時健診、2歳時健診、3歳時健診の検診結果、生活習慣を問うアンケート調査結果より各年齢別のむし歯の発生に起因する生活習慣の検討を行いました。

1歳6か月時のむし歯の有無に影響するリスク・ファクター

1歳6か月児健診時のむし歯に影響するリスク・ファクターの検討を行った結果、1歳6か月児健診児のむし歯は、祖父母が昼間の世話をする場合はオッ ズ比が5.48、すなわち世話をしない場合と比べて5.48倍、むし歯になりやすいことが示されました。他に、祖父母との同居が危険因子となることが示さ れました。

2歳時のむし歯の有無に影響するリスク・ファクター

2歳児健診時のむし歯に影響するリスク・ファクターは、2歳児健診時の祖父母による昼間の世話、1日の生活リズムの不規則性、1歳6か月児健診時の 祖父母による昼間の世話、1歳6か月に及ぶ母乳授乳の継続あるいは哺乳ビンの使用、出産後の母親のお口の状態(むし歯の未処置歯の存在)が大きく関与して いることが示されました。

3歳時のむし歯の有無に影響するリスク・ファクター

3歳児健診時のむし歯に影響するリスク・ファクターは、2歳児健診時での祖父母による昼間の世話、2歳児および3歳児健診時での間食の摂取の不規則性と関連する項目と関係が認められました。

山本誠二:カリエス・リスクファクターの検討より